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黄疸

黄疸とは

黄疸とは「血液検査で血清総ビリルビン値が2.0 mg/dL以上の状態」と定義されています。
3.0 mg/dL以上になってくると、皮膚あるいは眼球に黄染がみられるようになります。(顕性黄疸といいます)


症状としては、皮膚・眼球などの黄染のほか、皮膚の痒み、尿や便の色の変化(濃い色の尿、白い便)、倦怠感、食欲不振などがあります。

 

黄疸の原因となる病気で、最も注意すべきなのは膵癌胆道癌です。

黄疸の症状がある方はすぐに医療機関を受診してください。

 

ビリルビン代謝と黄疸の原因

▶ ビリルビンとは?

ビリルビンは、古くなった赤血球が分解されるときに生じる黄色の色素で、体の中で次のように処理されています。


🔄 ビリルビン代謝の流れ

  1. 赤血球の破壊
     赤血球に含まれる血色素「ヘモグロビン」の構成成分「ヘム」が、主に脾臓や肝臓で分解され、間接ビリルビン(非抱合型)が生成されます。

  2. 肝臓での処理:
     間接ビリルビンは肝臓に取り込まれ、「グルクロン酸抱合」により直接ビリルビン(抱合型)に変換されます。
     この形になることで水に溶けやすくなり、胆汁として排泄されます。

  3. 腸管での変化と排泄:
     胆汁中のビリルビンは十二指腸に排出され、腸管でウロビリノーゲンに変化します。
     - 約 80〜90%は便として排出され、便の色の元になります。
     - 残りの 10〜20%は再吸収されて血流に戻り、
      - 一部は尿として排泄される
      - 一部は再び肝臓へ戻されます(腸肝循環)


⚠ 黄疸とは?

黄疸(おうだん)は、血液中のビリルビン濃度が異常に高くなることで、皮膚や白目(強膜)が黄色くなる状態です。
ビリルビンの代謝や排泄がうまくいかなくなると、体内にビリルビンが蓄積し、黄疸が発症します。


🔍 黄疸の主な原因(4タイプ)

タイプ 概要
① ビリルビンの過剰産生
(溶血性黄疸)
赤血球の破壊が増え、間接ビリルビンが過剰に作られる
② 肝臓での処理障害
(肝細胞性黄疸)
間接ビリルビンを直接ビリルビンへ変換できない
③ 胆汁への排泄障害
(閉塞性黄疸)
肝細胞で作られた直接ビリルビンが胆汁に排出できない
④ 腸への排泄障害 胆道の閉塞などで、ビリルビンが腸に届かない

これらの異常を引き起こす疾患には、以下のようなものがあります。

①ビリルビンの過剰産生(赤血球の破壊が増え、間接ビリルビンが過剰に作られる)
  • 自己免疫性溶血性貧血
  • 発作性夜間ヘモグロビン尿症
  • 溶血性尿毒症症候群
  • 薬剤性溶血性貧血
  • 脾機能亢進症
  • 寄生虫感染(マラリアなど)
  • 巨大血腫 など
②肝臓での処理障害(間接ビリルビンを直接ビリルビンへ変換できない)
  • Ⅰ型Crigler-Najjar症候群
  • Ⅱ型Crigler-Najjar症候群
  • Gilbert症候群
③胆汁への排出障害(肝細胞で作られた直接ビリルビンが胆汁に排出できない)
  • Dubin-Johnson症候群
  • Rotor症候群
④腸への排泄障害(胆道の閉塞などで、ビリルビンが腸に届かない)
  • 総胆管結石
  • 膵癌
  • 胆管癌
  • 胆嚢癌
  • 十二指腸乳頭部癌
  • 悪性リンパ腫
  • 転移性腫瘍
  • IgG4関連硬化性胆管炎
  • 原発性胆汁性胆管炎
  • 原発性硬化性胆管炎
  • 慢性膵炎 など

急性肝炎、劇症肝炎、肝硬変、薬剤性肝障害、自己免疫性肝炎、ヘモクロマトーシス、ウィルソン病なども黄疸をきたしますが、肝臓の機能が低下することで肝臓でのビリルビン代謝がうまくおこなうことができないことによるため、①〜③に該当します。

黄疸の診断・検査

黄疸は、体のどこかでビリルビンの代謝や排泄に異常が起きているサインです。
診察の際、黄疸がみられた場合、私たちは原因を大きく2つのグループに分けて考えます


🔍 まず見極めるべきは「胆道の閉塞」があるかどうか

黄疸の原因は大きく4タイプに分けられますが、最初に確認すべきなのが「④ 胆道の閉塞(閉塞性黄疸)」があるかどうかです。

胆道が狭くなったり詰まったりすると、胆汁の流れがせき止められ、ビリルビンが体内に逆流して黄疸が出ることがあります。


🔬 診断に用いる検査

【1】 血液検査・尿検査

ビリルビンの種類(間接/直接)や、肝機能、炎症反応、腫瘍マーカーなどを調べます。

【2】 画像検査

胆管の拡張や、胆汁の流れの異常を確認します。

  • 腹部超音波(エコー)

  • CT(コンピュータ断層撮影)

  • MRI(MRCP)

  • 超音波内視鏡(EUS)

▶ これらの検査で「胆管が拡張している」ことが確認された場合、胆汁の排出障害=**閉塞性黄疸(タイプ④)**が疑われます。


⚠ ただし注意点も

「原発性胆汁性胆管炎(PBC)」のように、肝臓の中の細い胆管が障害されるタイプでは、画像で胆管の拡張が見られないこともあります。
そのため、血液中の自己抗体や肝機能の異常値を手がかりに診断します。


🧪 肝臓そのものが原因の場合(タイプ①〜③)

画像で胆管の拡張がない場合、ビリルビンの産生や肝臓での処理に問題があるタイプが疑われます。
この場合、さらに詳しい血液検査や、**肝臓の組織を調べる「肝生検」**を行うことがあります。


🚨 胆道の閉塞は、命に関わることも

胆道が閉塞することによる黄疸(タイプ④)には、膵がん、胆管がん、十二指腸乳頭部がんなど重篤な疾患が含まれます。
これらは早期発見・早期治療が極めて重要です。


👩‍⚕️ 黄疸に気づいたら、ためらわずに医療機関を受診しましょう。
「白目や皮膚が黄色い」「尿の色が濃い」「便が白っぽい」といった症状があれば、すぐにご相談ください。

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