黄疸
黄疸とは
黄疸とは「血液検査で血清総ビリルビン値が2.0 mg/dL以上の状態」と定義されています。
3.0 mg/dL以上になってくると、皮膚あるいは眼球に黄染がみられるようになります。(顕性黄疸といいます)
症状としては、皮膚・眼球などの黄染のほか、皮膚の痒み、尿や便の色の変化(濃い色の尿、白い便)、倦怠感、食欲不振などがあります。
黄疸の原因
ビリルビンは、ほとんどが赤血球の中の血色素(ヘモグロビン)を構成する「ヘム」が脾臓や肝臓で分解されることにより生成されます。
まずは間接ビリルビンという状態で生成され、肝臓で直接ビリルビンという水溶性のビリルビンに変えられ、胆汁(消化・吸収を助ける黄褐色の液体)の中に排泄され十二指腸に出されます。
十二指腸に排泄されたビリルビンは、小腸と大腸でウロビリノーゲンとなり、大部分(80〜90 %)は便で排出されます。(便の色はウロビリノーゲンの由来です)残りの10〜20 %は腸管から血管内に吸収され、尿で排出されたり、肝臓で再び処理された後に胆汁中へ再排泄されます。
黄疸は、これらの経路に異常をきたした場合に発症します。
たとえば①ヘモグロビンなどが過剰に分解された場合、②間接ビリルビン→直接ビリルビンへの変換(グルクロン酸抱合)が障害された場合、③直接ビリルビンが胆汁中に排泄できない場合、④ビリルビンが腸管へ排泄できない場合のパターンに分けられます。
これらの異常をきたす病気は下記のものがあります。
①ヘモグロビンなどが過剰に分解された場合
- 自己免疫性溶血性貧血
- 発作性夜間ヘモグロビン尿症
- 溶血性尿毒症症候群
- 薬剤性溶血性貧血
- 脾機能亢進症
- 寄生虫感染(マラリアなど)
- 巨大血腫 など
②間接ビリルビン→直接ビリルビンへの変換(グルクロン酸抱合)が障害された場合
- Ⅰ型Crigler-Najjar症候群
- Ⅱ型Crigler-Najjar症候群
- Gilbert症候群
③直接ビリルビンが胆汁中に排泄できない場合
- Dubin-Johnson症候群
- Rotor症候群
④ビリルビンが腸管へ排泄できない場合
急性肝炎、劇症肝炎、肝硬変、薬剤性肝障害、自己免疫性肝炎、ヘモクロマトーシス、ウィルソン病なども黄疸をきたしますが、肝臓の機能が低下することで肝臓でのビリルビン代謝がうまくおこなうことができないことによるため、①〜③に該当します。
黄疸の診断・検査
まず来院された方に黄疸がみられた場合、我々は①〜③によるものか、もしくは④によるものか、原因を大別します。つまり、④に該当するような、胆管が狭窄・閉塞することによる胆汁うっ滞がないかをまずは確認します。
そのため、血液検査・尿検査のほか、画像検査として腹部超音波、CT、MRI、超音波内視鏡などをおこない、胆管が拡張していないかを確認します。画像検査で胆管が拡張していれば、胆汁を排出できていないことによる可能性が高いため、④に該当する疾患を疑い検査をおこないます。(ただし④に該当する原発性胆汁性胆管炎については肝臓の中の細い胆管の炎症・閉塞なので、胆管拡張はみられないことが多いです)
胆管が拡張していないなど、①〜③に該当する疾患が疑われる場合は、精密項目の血液検査や肝の組織検査する肝生検という検査をおこないます。
④に該当する、胆道が閉塞することによる黄疸は、癌などの命に関わる病気が含まれています。黄疸の症状がみられた場合は、早めに医療機関を受診してください。