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胃がん

胃癌について

日本は胃癌の罹患率・死亡率ともに最も高い国の一つではありますが、国立がん研究センターの統計によれば1)、年齢調整死亡率・罹患率ともに減少傾向となっています。これは早期発見・早期治療によるところが大きいのと、ピロリ菌の感染率が減少したことによると言われています。

ただ依然として、胃癌の罹患者数、死亡者数は全体でも上位に位置しています。

 

胃癌の年間罹患者数

年間罹患者数は男女合計で13万人程度です。男性の罹患者数が女性の2倍近いことが特徴です。

 

 

 

 

胃癌による死亡者数

癌による死亡の内訳をみると、胃癌による死亡者数は男性で第3位、女性で第5位となっています。男女合計では膵癌により順位が後退しましたが、4位となっています。

 

 

 

 

ピロリ菌と胃癌

胃癌のリスクを上昇させる要因として最も強力とされているのが、胃に感染するピロリ菌です。この菌のヒトへの感染の歴史は古く、3000年前のミイラでも感染が確認されています。

主にピロリ菌は小児期に感染し、長期間にわたり持続感染します。感染経路は口からの摂取で、以前は汚染された水(井戸水など)や食べ物を摂取することで感染していましたが、上下水道の整備といった衛生状態の改善に伴い、現在は感染している大人から子供に感染する経路が主流となっているのと、感染率は低下しています。(1950年前後に生まれた世代までは80%以上が感染しているといわれていましたが、1990年前後に生まれた世代では10%程度まで減少しています)

ピロリ菌に感染すると慢性胃炎をおこし、胃の粘膜はどんどん萎縮していきます。この長期間継続する炎症によって、大人になってから胃癌を発生させたり、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因ともなります。

除菌療法を行わない限り、ピロリ菌はほぼ終生胃内に生息します。ピロリ菌感染が判明した場合は、早めに除菌療法を行うことをおすすめいたします。

ピロリ菌の検査として、血液検査、尿検査、便検査、胃の組織による検査、呼気検査があります。ただ保険診療を行うにあたり、ピロリ菌の検査や除菌療法を行うときは、胃カメラによる検査が必須となっております。

 

生活習慣と胃癌

日本の胃癌はピロリ菌が関与した胃癌がほとんどです。下記に示すものは、ピロリ菌に感染している状態で胃癌の発生に影響を及ぼすことが明らかとなった要因です。

・喫煙

喫煙量と胃癌リスクの関係をみた研究で、喫煙量が増えるほど胃癌のリスクが上昇するという報告があります2)。煙の中に含まれる発癌物質が、唾液と共に胃内に流れ込むことが原因と考えられています。

・飲酒

飲酒については胃癌と関連があるとする研究と、関連がないとする報告がありますが、近年では男性では飲酒量が多くなるほど胃癌の罹患リスクが上昇するという報告がされています3)。また、飲酒により噴門部といって胃の上の方の胃癌が発生しやすい傾向があるという報告もあります4)。アルコールによる胃粘膜の障害と修復の繰り返しや、代謝産物であるアセトアルデヒドの影響などが原因として考えられていますが、正確なメカニズムはまだ解明されていません。

・高塩食品

高濃度の塩分により胃粘膜がダメージを受け、炎症を引き起こすことで発癌しやすくなると言われています。

 

 

胃癌の症状

胃癌は、早期であれば無症状で経過します。病変が増大するに伴い、黒色便、貧血、便通の変化、腹部膨満感・嘔吐、腹痛などの症状がではじめ、さらに進行すると体重減少や黄疸などの症状がでてきます。

 

 

胃癌の診断/治療

胃癌は画像診断によりおこないますが、主として胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)によりおこないます。胃癌は早期に発見すれば、内視鏡による治療も可能です。そのため内視鏡の診断力の向上を目標に、内視鏡機器の進歩も日々すすんでおります。

進行癌として発見された場合は、手術や全身化学療法が標準治療となります。

可能な限り早い段階で発見することが重要ですので、画像診断の肝である内視鏡検査を定期的に行うことをおすすめしております。

 

 

1) Cancer Statistics. Cancer Information Service, National Cancer Center, Japan

2) Kikuchi S, et al. Jpn J Cancer Res 93: 953-959, 2002.

3) Tamura T, et al. Cancer Sci 2022; Jan;113(1):261-276

4) Sasazuki S, et al. Int J Cancer 2002; 20;101(6):560-6.

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